音のタイル張り舗道。

クラシックという銀河を漂う... 

2019-01-01から1年間の記事一覧

ファウスティーナ、ヴェネツィアのプリマ、ナポリへの旅、

ピエタのスター、キアラに、アカデミーのアイドル、バルバラ・ストロッツィ... バロック期のヴェネツィアの音楽シーンを紐解いてみると、思いの外、女性たちが躍動していたことに驚かされる。もちろん、ヴェネツィアという都市が、特別、女性に開放的だった…

バルバラ・ストロッツィ、生誕400年、シンガー・ソングライター。

クラシックの世界は、何だかんだで男性中心の世界... いや、音楽史という観点から見つめれば、もはや男性のみで形作られていると言っても過言ではない。それぞれの時代を彩ったプリマドンナや、ヴィルトゥオーザたちがいたことを忘れるわけには行かないもの…

ピエタのキアラ、ヴェネツィア、オスペダーレが生んだスター。

沖澤のどかさん、ブザンソン国際指揮者コンクール、優勝のニュースに、おおっ?!となる。もちろん、コンクールは、あくまでも玄関口であって、ここからが厳しいクラシック道(指揮者コンクールの世界最高峰、ブザンソンで勝てば、世界的なマエストロになれる…

豪奢なドレスデン、ピエタの濃密、広がるヴィヴァルディの仕事...

ラグビーのワールドッカップ、開幕しましたね!って、おもいっきり"にわか"ではございますが、開幕戦、ガッチガチな前半を乗り越えての日本勝利、テンション上がりまくりでした。ところで、クラシックでラグビーというと、オネゲルの交響的運動、第2番、「ラ…

パリ、オペラ座からの視点、ワーグナー、リングという物語。

1976年、パトリス・シェロー(1944-2013)は、バイロイト音楽祭で『ニーベルングの指環』を演出するにあたり、ワーグナー自らが書いた台本にあるゲルマン神話の世界を、産業革命の時代に読み替え、舞台上にそれまでにない斬新な情景を創り出した(今となっては…

ロマンティックが走り出す、メンデルスゾーン姉弟の弦楽四重奏...

先日、マーラーの未完の交響曲、10番を、AIが完成させたというニュースに、おおっ?!となった。ま、完成させるにあたって、結構、いろいろ手掛かりのある(だけに、すでにいろいろな版があって完成されている... )、マーラーの10番だけに、作曲家、AI氏の腕…

ウィーン、ピアノを並べて、音楽教師、モーツァルト...

モーツァルトは、見事なオペラ、充実した交響曲、確かな室内楽、印象に残る教会音楽の数々を残した。改めて、その仕事ぶりを俯瞰した時、何でも卒なくこなす器用さ、オール・マイティーっぷりに、感服させられる。バッハはオペラに挑まなかったし、ベートー…

レオポルト・モーツァルト、生誕300年、神童の礎を見出す。

えーっと、二宮敦人著、『最後の秘境 東京藝大 天才たちのカオスな日常』という本を読んでおります。やっぱ、天才たちのカオスというか、様子、覗き見たいじゃないですか?でもって、はじめに(は、著者にこの本を書く切っ掛けを与えた、彫刻科、藝大生妻の日…

ウィーン、天才の歩み、モーツァルトのピアノ協奏曲...

9月、新シーズンの開幕!ということで、クラシック、な気分を盛り上げたく、普段、あまり聴かない?クラシックど真ん中な音楽を聴いてみようかなと... ベートーヴェンを準備体操に、ブラームスの交響曲、第1番、シューベルトの歌曲に続いての、モーツァルト…

ロマンティックから自由になる、ゲルネが歌うシューベルト...

突然ですが、9月4日は、クラシックの日!なのだそうです。九ら四っくなんですって... って、縁起が悪そうな数字が並んでいるのは、死に逝くクラシックを暗示させているのでしょうか?笑えねぇ... と言うより、こじ付け過ぎッ!ということで、クラシック・フ…

"Opening Doors"、ベートーヴェンの10番としてのブラームスの1番、

9月1日です。新シーズンの開幕です。ま、特にオフもなく、年がら年中、クラシックな、当blog的には、開幕もへったくれもないのが正直なところですが、ここから、また、リ-スタートというのも悪くはないなと... で、何で始める?開幕に相応しく、ザ、クラシッ…

"RESOUND BEETHOVEN"、戦時下のベートーヴェンを追って、

間もなく8月が終わります。いやはや、温暖化の夏の強烈さが身に沁みる日々でありました。それでいて、大気ばかりでなく、世界も、日本も、やたら熱くなって、炎上しまくった日々でありました。身体ばかりでなく、精神的にも夏バテを起こしてしまいそうな惨憺…

"RESOUND BEETHOVEN"、若きベートーヴェンのリアルを見つめて、

何となーく、涼しくなって来たのかな?先日、8月23日が、処暑とのこと... 暑さが、一先ず、処(お)く=落ち着く、という意味らしいです。でもって、実際に、立秋(これが8月8日なんだわ... )を過ぎると、我々のいる北半球では、日照時間が短くなり始め、当然、…

ニューヨーク、ライク、RADIO REWRITE...

暑いと、つい、さっぱりしたものを選びがちに... ということで、ここのところよくそばを食べております。お気に入りは、家で、簡単、冷やしたぬき!どんぶりに、だしの素、1袋、砂糖、小さじ1、こぶ茶、小さじ1に、お湯を注ぎ、蓋をして、少し置いたら、麺つ…

カリフォルニアのアダムズのドライヴ、ROAD MOVIES...

wikiで、「ジョン・アダムズ」を調べると、曖昧さ回避というページが出て来る。つまり、wikiには、ジョン・アダムズという名前の人が、複数いる、ということ... 例えば、2人のアメリカ大統領、バウンティ号の反乱の生き残り、海王星を発見した天文学者、R&B…

アラスカのアダムズ、砂漠へ、BECOME DESERT...

我々にとっての暑さの問題は、やっぱり湿度だと思う。目には見えない空気中に漂う微細な"水"が、夏の暑い日差しに熱せられて、じっとりと纏わり付いて来る日本の夏... サウナの中にいるようだ、とはよく言ったものだ。けれど、実際は、人間が、目に見えない…

我らに平和を与えたまえ、三十年戦争の音楽。

明日、8月15日は、終戦の日。ということで、改めて、平和について見つめてみたい。というのも、今、世界は、不穏過ぎるほど不穏だから... 戦争への緊張感は各地で高まり、紛争ならばすでに常態化し、国と国の対立が驚くほど安易に煽られ、21世紀、「平和」が…

ベルリオーズ、イタリアのハロルド、私小説としての交響曲。

暑いですね。もうすぐ人体自然発火が報告されそうなくらい... だからでしょうか?近頃、あっちでもこっちでも炎上していて... というより、もはや炎上上等!対馬海峡のあちら側など、戦中の日本かと思うような国策民族主義で焚きつけて、本当に21世紀?と耳…

チャイコフスキー、4番、激情の果てのドラマとしての交響曲。

先日、『死に山 世界一不気味な遭難事故《ディアトロフ峠事件》の真相』(ドニー・アイカー著)という本を読む。表紙に躍る「死に山」の文字のインパクトが、怪談の季節にぴったり?で、ホラー映画(『ディアトロフ・インシデント』は、後日談として描かれるの…

シベリウス、1番、未純化な状態が生む情念の交響曲。

この間、『出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと』(花田菜々子著)という本を読む。「出会い系」という響きが、なかなかスパイシーなのだけれど、そういうスパイシーさとは裏腹に、斜陽産業、"本"業界で、苦闘…

ルトスワフスキ、ポーランドのモダニズムにおけるダンディズム...

さて、今年、日本とポーランドは、国交樹立100周年を迎えました。というわけで、モニューシュコ、ショパンと、ポーランドの作曲家を聴いて来て... いや、正直に申しますと、先ほど知りました、100周年(小声... )。いやいや、100周年云々に関わらず、実に興味…

ショパンを"Ghosts"として見つめたなら... 前奏曲集。

国民楽派のスターたちを輩出したチェコに、遅れて来た音楽大国、ロシアと、東欧の音楽は、ローカルながら、実に表情豊かで、西欧とは一味違うおもしろさに充ち満ちている!ところで、チェコとロシアのその間、ポーランドは?盛りだくさんの両隣に比べると、…

モニューシュコ、生誕200年、ポーランドの魂を籠めて、幽霊屋敷。

昨日、7月26日は、幽霊の日でした。何でだろ?と、調べてみたら、歌舞伎の『四谷怪談』が初演(1825)された日なんだって... 普段、オペラとかでワイワイしている身からしますと、ちょっとテンションの上がる由来じゃないですか。そうか、劇場に因むのですか、…

フランス革命は過ぎ去って... ルイ16世のためのレクイエム。

フランス革命記念日を切っ掛けに、フランス革命を巡る音楽を聴いて来た今月半ば... 革命歌に反革命歌、革命歌をテーマにした協奏交響曲、革命に翻弄されたピアニスト、革命の波に乗った作曲家... 時代が大きく動く時というのは、泣く人、笑う人、様々である…

フランス革命が焚き付けた新時代の熱気、ロドイスカ!

1780年代、パリの音楽シーンは、まさに花盛りだった。ナポリ楽派の巨匠、ピッチンニ(1728-1800)、サッキーニ(1730-86)に、ウィーンからやって来た次世代の巨匠、サリエリ(1750-1825)らがオペラ座を沸かせ、さらに、ベルギー出身のグレトリ(1741-67)が、オペ…

フランス革命に翻弄されたピアニストの肖像、モンジュルー。

もし生きる時代を選べたら... いつの時代を選ぶだろう?つい、いろいろ夢想してしまう。が、そんなことが叶う人間なんて、誰一人としていない。いや、今、改めて音楽史を振り返ってみると、選べないことの無常を、ひしひしと感じてしまう。モーツァルト(1756…

フランス革命前夜とその後で、パリ、交響曲の諸相...

さて、昨日は、フランス革命記念日、パリ祭!つまり、おめでたい日。が、歴史をつぶさに見つめれば、おめでたいとばかりも言えないフランス革命(画期的だった人権宣言、理想に輝いていた自由、平等、博愛の精神は、あっという間に吹き飛んで、暴力と破壊と混…

フランス革命の喧騒に響く、革命歌と反革命歌...

7月4日は、アメリカ独立記念日ということで、アメリカ音楽史をざっくり遡ったのだけれど、続いて7月14日は、フランス革命記念日、パリ祭!となれば、今度はフランス革命にまつわる音楽を聴いてみようかなと... いや、フランス音楽史において、フランス革命は…

アメリカの音楽の歩んだ道を辿って、シャロンのばら。

アメリカは、言わずと知れた、音楽大国!なぜそうなったのだろう?ちょっと考えてみる。アメリカ"合衆"国という国名が示すように(って、誤訳なのが痛いところ... )、いろいろな地域から移民がやって来て、形作られた、アメリカ。その移民たちが、それぞれに…

アメリカ、クレオールというもうひとつの感性、ゴットシャルク。

クラシックにおいて、アメリカが存在感を示すのは20世紀に入ってから... ジャズ・エイジの申し子、ガーシュウィン(1898-1937)、マシーン・エイジの"アンファン・テリヴル"、アンタイル(1900-59)が、第一次大戦後のヨーロッパで旋風を巻き起こし... シェーン…