音のタイル張り舗道。

クラシックという銀河を漂う... 

2019-01-01から1年間の記事一覧

さようなら、2019年。

今年、最後のupです。そして、令和元年が、終わります。 それにしても、凄い一年でした。一年で十年分もの時間が流れたてゆくような... 何と言っても、我々は、改元を経験した。時代が動く瞬間というのは、歴史の教科書の中に書かれていることだと思っていた…

2019年、今年の音楽、リヒャルト・シュトラウス、『ばらの騎士』。

今年の漢字、"令"でしたね。いやはや、皆さま、考えてらっしゃらない。令和で、"令"だなんて、もうちょっと2019年がどういう年だったか、考えてみませんこと?などと、突っ込まずいられないのは、例年のことか... ということで、今年も、選びます。音のタイ…

クリスマスに聴くドイツ・バロックの素朴、ハスラーの微笑ましさ。

さて、クリスマス・イヴです。でもって、日本のクラシックにとっては、やっぱり、第九の季節... いや、毎年、思うのだけれど、「第九の季節」って、なかなか感慨深いものがあります(すでに季語だよね... 日本の文化に融け込んでいる... )。が、クラシック的…

年の瀬に聴く『展覧会の絵』、アリス・沙良・オット、大器!

何となしに、いつもの年より、いろいろ思うことが多いような今年の年の瀬... それだけ、いろいろなことがあった2019年ということなのだろう。そんな2019年を振り返って、頭に浮かぶのは、「分断」の二文字。世界で、日本で、あらゆる場所で、「分断」が強調…

ダ・ヴィンチ、没後500年、その絵画を音楽で再構築したならば...

さてさて、2019年も、残すところ2週間... 良いことも、悪いことも、凄過ぎた年だっただけに、いつもの年の瀬より、何だか感慨は深くなる。いや、感慨に耽っている場合でなくて、やることいっぱいの年の瀬でありまして... 当blog的には、2019年にメモリアルを…

コミタス、生誕150年、アルメニア、苦難の果てのイノセンス...

テジュ・コール著、『オープン・シティ』という本を読んでいます。不思議な本です。ニューヨークに住む精神科のインターンの先生(かなりのクラシック・ファン!)が、今に続く世界の様々な傷跡をなぞり、意識の中で漂泊する、小説のようで、小説じゃないよう…

チェスティ、没後350年、バロック・オペラ確立前夜のナチュラル...

刻々と年の瀬が近付いております。でもって、例年通り、いろいろせっつかれるような状況となりつつありまして、若干、気が滅入って来るような、今日この頃... そうした中、当blog的には、2019年にメモリアルを迎えた作曲家たち、まだ取り上げていない面々を…

ベルリオーズ、らしさを反転させて輝かせる『キリストの幼時』。

音楽史において、「異端児」という言葉は、この人のためにあるんじゃないかとすら思う、ベルリオーズ... 没後150年のメモリアル、改めてベルリオーズと、ベルリオーズが活きた時代を見つめると、この異端児を生み出した時代性、その時代をも揺さぶるベルリオ…

ベルリオーズ、その特異なる芸術の種... 荘厳ミサ。

12月に入りまして、2019年を振り返ってみるのですが、いやー、今年も、メモリアルを迎えた作曲家、いろいろ取り上げて来たなと... 生誕300年のバルバラ・ストロッツィ(1619-77)、生誕200年のスッペ(1819-95)、オッフェンバック(1819-80)、グヴィ(1819-98)、…

ベルリオーズ、メガロマニアックの先の壮麗... レクイエム。

大嘗宮、見学、行ってきました!すんごい人で、えげつなく押し合いへしあいの熾烈な撮影大会(嗚呼、ワタクシもそのひとりになってしまった... 反省... )の必死さに、ありがたさもどこか吹っ飛んでしまうようではありましたが、大嘗宮、そのものは、実に、実…

スッペ、生誕200年、オペレッタではなくて、黙示録!?

11月も今日で終わり、明日から12月ですよ... あっという間の11ヶ月だったけれど、11ヶ月前、1月を振り返ってみれば、それはあまりに遠く、数年前にすら感じられる。この「あっという間」の"速さ"と、11ヶ月前の"遠さ"に君妙なズレが感じられて、不思議。まる…

エルガーのあの世を巡るオラトリオ、『ゲロンティアスの夢』。

なんちゃって多神+仏教徒ではございますが、ローマ教皇の来日に、何だかテンション上がる!のは、クラシック、音楽史界隈をウロチョロしていると、時折、聖下のお姿をお見掛けするからでしょうか?例えば、パレストリーナの教皇マルチェルスのミサとか... い…

エルガー、チェロ協奏曲、ケラスが見据える、慟哭、諦念...

グンと気温が下がって参りました。気が付けば、11月も下旬です。まさに、晩秋... そこに、しとしと雨に降られたりすると、寂寥感がひたひたと迫って来るようで、身に沁みます。何だか、冬より寂しい感じ... さて、この秋の深まりゆく中、秋はチェロ、あるい…

秋に聴くヴァイオル... ファビュラス!コンソート・ミュージック。

ヴィオラ・ダ・ガンバの起源は、アラブの民俗楽器、ラバーブ(三味線に似ていて、弓を用いて鳴らす擦弦楽器... )に求めることができる。8世紀、イスラム勢力がイベリア半島に進出すると、ラバーブも地中海を渡り、10世紀には、キリスト教諸国にも伝えられたと…

秋に聴くガンバ... シェンクの実直、フィンガーの充実。

ヴィオラ・ダ・ガンバはチェロに似て、まったく異なる楽器である。ヴィオラ・ダ・ガンバが古楽器であるがゆえに、うっかりチェロの古い形だと錯覚してしまいそうになるのだけれど... チェロは、ヴァイオリン属の楽器(ちなみに、我々にとってお馴染みのヴィオ…

秋に聴くガンバ... へフラー、竪琴からとれた初物の果物。

春は曙、秋は夕暮れ、みたいに、四季を楽器で語ったら、どんな感じになるかな?と、この間、秋の夕暮れ間近、差し込む陽の光がこそばゆい電車のシートに揺られながら、何となく考えていた。秋はチェロ。あの少し枯れたようで艶やかな音色は、秋の陽の光に似…

バッハ、無伴奏チェロ組曲、ケラスに引き出される、やさしさ...

日曜、秋晴れの下のパレード。"祝賀御列の儀"という言葉が、凄いインパクトを放っていたのだけれど(それ、また、ツボ!)、テレビで見るその光景は、穏やかで、午後、傾き出した太陽に照らされて、キラキラとしていながら、思い掛けなくアットホームな感じと…

フランス、いともオシャンティーなサン・サーンスのコンチェルト。

ハロウィンのひと騒動が終わり、気が付けば、秋も深まっていて、昨日は立冬でした。今年も、そろそろ終わりが見えて参りましたね... 秋の夜長に、読書の秋、芸術の秋だと、まったり気分にひたるのも束の間、年の瀬へと追い立てられて行くわけです。でもって…

ルーセル、生誕150年、フランスにて、硬派に交響曲と向き合う。

幻想交響曲(1830)、フランスの山人の歌による交響曲(1886)と聴いて来て、ふと思う。フランスの交響曲には、7番とか、8番とか、9番が無い... つまり、シンフォニストと呼べるほど、多くの交響曲を書いた人がいない(えーっと、12番まで書いた、ミヨーという多…

フランスにおける"交響曲"とは... フランスの山人の歌による交響曲。

交響曲というと、やっぱりドイツ―オーストリアのイメージが強い... で、フランスはというと、やっぱり影が薄い。けど、音楽史を紐解けば、交響曲が形作られて行く18世紀、パリの音楽シーンが担った役割は、けして小さくは無い。当時、パリを代表するオーケス…

ハロウィンに聴く、仮装する絶対音楽、幻想交響曲。

ハロウィンです。Trick or Treat!Trick or Treat?ウーン、トリートしてもらえそうにないので、トリックな話しをします。えーっ、ワタクシ、無類の実話怪談好きでして、そういう本に目が無かった先日まで... とある本(もちろん、怖い系の、それもルポ!)を…

ラモーからグルックへ... 奇怪、地獄巡りのミサ、"ENFERS"。

近頃、「ヴィンテージ」とか、「昭和」とか、そういったワードが、何かと視野に入って来る。もちろん、ポジティヴな意味合いで... 時代遅れを乗り越えた古さは、思い掛けなく新鮮に映ってしまう魔法!リヴァイヴァルって、おもしろいなとつくづく思う。そん…

フランス、啓蒙主義は飾らない、自然に帰る音楽のシンプル...

過渡期には、古いものと新しいものが対立する。が、やがて新しいものへと収斂され、前進する。近頃、あちこちでバチバチやっている、新旧の喧嘩、それに伴う炎上... あれを絶え間なく見せられていると、本当に疲弊します。けれど、これもまた、時代が前進す…

戴冠式。

ラグビーのワールドカップで、沸きに沸いたのも束の間、スーパー台風に戦慄し、その被害に衝撃を受け、それでもブレイヴ・ブロッサムズは戦い、勝ち、決勝トーナメントへの扉は開かれた!扉を開くための、魔法のような数々のトライ("にわか"もすっかりエキサ…

フランス、クラヴサンの国のピアノに負けない輝き、デュフリ、

我々は、今、おもいっきり過渡期を生きている。のだと思う。日々、古いものと新しいものがぶつかり合って、人が、社会が、国が、世界が、言いたい放題、怒声に塗れ、大気に大地までもが軋み、苦悶の声を上げている。その声、時に聞くに堪えないこともある。…

ラモー、アルカイック、"LE GRAND THÉÂTRE DE L'AMOUR"。

台風19号... まず、亡くなられた方にお悔やみを、被災された方にお見舞いを申し上げます。そして、一日も早い復興を祈っております。それにしても、言葉を失う週末でした。エリアメールのアラームが夜中まで鳴り響く緊迫の一夜... 我が家の周辺の堤防は何と…

ハーディ・ガーディが描き出す、シェトヴィル版、『四季』。

18世紀、ヴィヴァルディのオペラは、ヨーロッパを席巻するには至らなかったものの、コンチェルトは、ヨーロッパ各地で大人気となった。なぜか?観光都市、ヴェネツィア(地中海の制海権を失い、海運業がままならなくなると、観光業に活路を見出したヴェネツィ…

ヴィヴァルディ、ドレスデンのヴィルトゥオーゾために...

えーっ、この夏の直木賞、大島真寿美著、『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び』を、読書の秋に、読まさせていただきました。近松亡き後の大阪を舞台に、人形浄瑠璃やら、歌舞伎やら、舞台人たちが、魂削りながら、渦巻いて、ひとつ大きな芸術を拵えて行く話しでござ…

ナポリ楽派、濃縮、カッファレッリのためのアリア、

ヴェネツィア楽派のオペラへの貢献は、何と言ってもオペラを一般市民に開放(世界初の公開のオペラハウス、サン・カッシアーノ劇場がオープンするのは1637年... )したこと。で、市民を観衆とするとどうなるか?ヴェネツィアには雨後の筍のようにオペラハウス…

ヴィヴァルディ、最後のオペラ、『ウティカのカトーネ』。

音楽における「バロック」は、オペラ誕生に始まる。だから、音楽におけるバロック期とは、そのままオペラ成長の歩みでもあって... フィレンツェでの誕生、マントヴァでの実験、ローマへの移植、そして、ヴェネツィアでの大ブレイク!17世紀、ヨチヨチ歩きか…